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2025.12.01

なぜ負荷運転が必要?義務化の背景と「動かない発電機」の現実

非常用発電機は「非常時に動くこと」が役割ですが、実際に災害が起きた際、

  “エンジンは回ったのに発電していなかった”

というケースが全国で報告されています。

これが、負荷運転が求められるようになった最も大きな理由です。

今回はカラ運転(無負荷運転)との違い、背景、担当者が押さえるべきポイントを整理します。

 

1.「カラ運転点検」だけでは不十分だった

 

これまで多くの建物では、非常用発電機の点検として

エンジンを空回しするだけの無負荷点検が中心でした。

問題はココ!

カラ運転=”エンジンが動くかの確認”であり“発電できるか”の確認ではない

つまり、

・エンジン:OK

・発電部分(交流発電機):NG

・ケーブルや切替盤:NG

…で、あったとしても、カラ運転では気づけません。

実際、火災や大規模停電時に、

「試験では動いたのに、停電時は電気が送れなかった」

というトラブルが複数報告されました。

 

2.負荷運転とは?

 
負荷運転(発電試験)は、実際に電気を使う状態を再現し、

発電機に負荷(=負担・電力)をかけて動作確認する点検方法。

つまり、実践同等の試験です。

 

◆カラ運転と負荷運転の違い

 

カラ運転(無負荷試験)

・確認できること:エンジンが回るか

・弱点:発電能力はわからない

・比較的短時間、コスト低い

例えるなら、アクセルを踏まずに“アイドリング”だけしている車

 

負荷運転試験

・確認できること:発電できるか、供給できるか

・本来の目的に直結

・燃料や排煙対策が必要

例えるなら、道路を走ってブレーキや加速も含めて「車として使う」状態

 

3.義務化が強まった背景

 

負荷運転の必要性が強く言われるようになった理由は、次の3点です。

 

✓災害時に「動かない発電機」が多かった

東日本大震災や大型台風で、「年に1度点検していたのに動かなかった」

という報告が消防庁へ多数寄せられました。

 

✓カラ運転点検だけでは故障傾向が分からなかった

特に多い不具合は…

・バッテリー劣化

・燃料劣化

・バルブ固着

・劣化した発電部の絶縁不良

これらは負荷をかけないと発見できません。

 

✓消防庁通達で「負荷または代替手段」が明確化

2018年より、負荷運転または負荷に相当する試験(例:可搬式負荷装置・代替試験)

が求められる流れとなりました。

 

4.どれくらいの頻度で必要?

 

以前は年1回の負荷試験が必須でしたが、

法改正により条件によって実施周期が変わります。

●予防的な保全策を実施している場合(例:冷却水・潤滑油の交換、定期整備など)

⇒負荷試験は6年に1回でOK

または内部観察などの代替措置でも可

 

●予防的な保全策を実施していない場合

⇒従来通り年1回の負荷試験または内部観察などの代替措置が必須

 

5.担当者が押さえるべきポイント

 

チェック用に一覧化しました。

・☐点検方式(予防的な保全策/負荷/代替試験)が決まっている

・☐次回の負荷運転予定年が把握できている

・☐記録が残っており、引き継ぎできる状態

・☐負荷運転に伴う排煙・騒音・燃料消費の理解

・☐発電機本体だけでなく切替盤・制御盤まで動作確認できている

 

特に切替盤が動かず電力が建物に送れないというトラブルは多く、

大事な確認ポイントです。

 

まとめ.“動く”ではなく“供給できる”が重要

・カラ運転=動くかの確認

・負荷運転=役割を果たせるかの確認

非常用発電機は、いざという時に動かない=意味がない設備です。

だからこそ、定期的な負荷試験が必要、という考え方が広まっています。

 

設備管理は建物と同じく継続性が命です。

もしご不明点や不安があれば、ボントン株式会社へどうぞお気軽にお声がけください。

 

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