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消防法上、非常用発電機はどう扱われる?基本と管理責任を整理
停電時に建物の避難安全を守る「最後の砦」である非常用発電機。しかし日常では目立たず、法令上どんな扱いなのかまで意識されにくい設備です。
この記事では、現場の設備管理担当者やビルオーナーの方が「まずここだけ押さえればOK」というポイントを整理します。
1|消防法で何と位置づけられているのか
防災用の非常用発電機は、消防法では消防法設備の非常電源として扱われます。特に以下の設備を動かすための電源として大変重要です。 • 消火栓 • スプリンクラー • 排煙設備 • 非常用照明 • 非常用エレベーター など
つまり、停止したら人命に直結する設備の「心臓」
という位置づけです。
2|常用発電機との違いは「目的にあり」
常用発電機
・目的:節電、ピークカット、売電など
・消防法の点検対象:原則対象外
※ただし、非常用設備を兼ねる場合は対象になります。 「常用だから関係ない」は要注意!
非常用発電機
・目的:停電時の防災用電源
・消防法の点検対象:対象
3|点検義務は必ずあるのか?
結論:あることがほとんどです。
点検対象となるケース • 防火対象物(建物)が法律で定められている • 非常用消防用設備の電源となっている
点検者は…
• 資格者(消防設備士 など)による年1回:総合点検 • 従業者等による半年に1回:機器点検
が基本。
その結果は…
消防署へ報告義務あり(建物の規模による)
報告せず設備が不良 →管理権原者が罰則を受ける可能性(オーナー側の責任!)
4|点検しているのに動かない理由
実は、よくあるのがこれです
「カラ運転」だけして負荷をかけていない
エンジンは回るけれど→ 発電機部分が壊れていて電気が出ていない、というケースが多発。
この問題から負荷運転点検が強く求められるようになりました。(※次回のコラムで詳しく解説します)
5|管理者が最低限やるべきこと(実務)
ぜひチェックしてみてください• □ 年次点検・報告が漏れていない• □ 過去3年分程度の報告書を保管している• □ 負荷運転点検の計画がある• □ トラブル履歴・交換部品の記録がある• □ 専門業者にすぐ相談できる環境がある
特に負荷運転の周期管理は、後々になって困る企業が多くいらっしゃいます。
まとめ|知らぬ間に「リスク保有」になっていませんか?
• 非常用発電機は消防法上の防災設備• 点検・報告義務はオーナー側の責任• カラ運転だけでは「発電できない」リスクが残る
義務を知らない=リスクが増している状態
まずは、自社の管理状況から確認してみてください。
